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共謀罪法案の衆議院本会議強行採決に断固抗議し、改めて共謀罪法案の廃案を勝ち取る決意の声明

2017.05.26

共謀罪法案の衆議院本会議強行採決に断固抗議し、改めて共謀罪法案の廃案を勝ち取る決意の声明

 5月23日、政府与党の自民党・公明党そしてその補完勢力である日本維新の会3党は、共謀罪法案を衆議院本会議で強行採決した。私たちはこの暴挙に断固抗議し、参議院での徹底審議を求め、改めてこの法案の廃案を勝ち取るために全力を尽くすことを決意し、この声明を発表する。

共謀罪法案は、今国会で法案提出前からその問題性が論議されてきた。法案提出前後を通じて、担当法務大臣はろくな答弁ができず、法案提出前には答弁を拒否するペーパーを出し、法案提出後は野党の反対を押し切って国会質疑に官僚を出席させ答弁させるなど醜態をさらしてきた。このような国会質疑では、この法案の疑問点、問題点はなんら解決することなく、いっそう廃案とする外ないことが明らかとなってきた。
朝日新聞の世論調査(5月)でも、法案の内容について「あまり知らない」・「全く知らない」が63%に達し、今国会での成立は「必要ない」が同様に64%となっている。これは国民の間に十分な理解がされていない、政府が説明責任を果たしていないことを示している。
政府はテロ対策・国際組織犯罪防止条約締結のためというが、同条約はテロ対策と無関係であること、現行法で取締ができない事例の説明に矛盾があること、処罰対象がまだ犯罪に至らない人の内心であって憲法の思想良心の自由保障(19条)に違反する恐れがあること、処罰条件となる準備行為が日常生活上の行為と区別がつかないこと、一般市民が取締まりの対象となって広くその日常生活が監視の対象となっていくこと、などが明らかになった。
このようにこの法案は、日常的に市民が集い、語り合い、行動する計画を練ることを敵視し、これを監視・介入・処罰しようとするものであり、結果的に人々を萎縮させ、自由にものを言えない社会、監視社会へと導いていくことになる。民主主義を根幹から破壊する悪法である。徹底審議に背を向けた、今回の衆議院本会議強行採決に断固抗議する。
政府はこの法律が2020年オリンピック・パラリンピックのために必要といってきた。5月3日、安倍首相は、その2020年までに憲法9条に3項を加える改憲を実現する意欲を公表し、その後9条「改悪案」を年内に練り上げるよう自民党に指示した。共謀罪法案の審議の最中の安倍首相の行動は、実は共謀罪が戦争する国づくりと一体となっていることを示している。
私たちは、このような共謀罪に断固反対し、今後も同法案の廃案を勝ち取る決意である。
以上声明する。
2017年5月26日
東京南部法律事務所