コラム
月別アーカイブ: 8月 2021
2021.08.30
弁護士 佐藤 誠一
えん罪布川事件の元被告、桜井昌司さんが国と茨城県を被告に国家賠償請求を提訴していた件で、8月27日、東京高裁が東京地裁に引き続き、桜井さん勝利の判決をくだしました。事件は1967年茨城県で発生した金融商に対する強盗殺人事件です。桜井さんと杉山さん(故人)が共犯であったとして有罪とされ、無期懲役を服役し、1996年仮釈放になっていました。服役中から杉山さんともども再審請求にチャレンジし、2011年再審無罪が確定しました。
その後えん罪の責任は、国・茨城県にあるとして桜井さんが国賠訴訟に取り組んでいました。東京地裁は、検察側が二人の無罪の証拠を隠していたことを断罪しました。高裁はそれに加えて、警察官が、二人を被害者宅で見かけた目撃者がいる(ウソ!)、ポリグラフ検査で桜井さんの供述が全部ウソと結果が出た(これもウソ)、とか、自白したら新聞報道されないようにしてやる、とか自白しないと重罪になる(死刑!)と自白を誘導する違法な取り調べをしたこと、検察官が、否認を許さない強引な態度で違法な取り調べをしたことを断罪しました。警察官(茨城県)と検察官(国)が寄ってたかって二人を犯人に仕立て上げた、違法捜査であったことが司法の判断で明らかにされたのです。
桜井さんは警察や検察の違法を明らかにして、司法をただす取り組みとして国家賠償訴訟を提起しています。私たちは二人の再審請求や桜井さんの国家賠償請求を支援してきました。当事務所のOBである山川豊弁護士(故人)は、再審弁護団に参加し、再審開始を決定づける重要な役割を果たしました。
今、えん罪に苦しむ多くの方々がおられます。とりわけ、再審事件では、袴田事件の袴田さん(85歳)、大崎事件の原口さん(92歳)の事件が高齢であり、元気なうちに晴れて無罪の声をぜひとも聞かせて差し上げたい事件です。皆さんのご支援をお願いします。
2021.08.10
弁護士 佐藤 誠一
日本人選手の活躍が著しいオリンピックです。開催に反対していた私ですが、その活躍に驚く毎日です。特に卓球の混合ダブルスには目を奪われました。そこでは「敵なし」に見えた伊藤選手が、シングルでは優勝できなかったことにも感心しました。
その一方で大変なコロナ陽性者の数です。途中の増加傾向から、7月のこの頃にはこうなるであろうという数字がそのとおりにあがっています。
これに対する菅総理の会見ですが、人流は減ってるの、高齢者が陽性者に占める割合は少ないの、とまるで気にしなくていい、とでも言わんばかりです。尾身さんが、危機意識が共有されていないことが重大な問題だと言っています。しか危機意識が乏しいのは菅総理でしょう。あの人がテレビで発言すると危機意識は減退します。菅総理は、こんな情勢でもオリンピックの中止はないと言います。しかし、「このままではオリンピックは途中中止、パラリンピック開催見合わせにならざるを得ない、皆さん最後までアスリートが活躍できるように、ご協力いただきたい」とでも言えばまた違うと思いますが、全然響く発言がないですね。
日本人選手のメダルラッシュ、と言われています。しかし、外国人選手は「バブル」と呼ばれる「選手村」に閉じ込められ、思うようなトレーニングもできないなど、ストレスフルな日々を送っています。しかし日本人選手は選手村に入らず、ホテルなどでストレスの少ない時間を過ごしていて、不平等だ、と聞きます。日本人選手のメダルラッシュは、「地の利」だけなく「コロナの利」を活かした結果だとすれば、メダルの色もさめて見えますね…。