コラム 月別アーカイブ: 8月 2016

今年のヒロシマの夏

2016.08.31

8月4、5日、広島に「仕事」で行ってきました。小学4年生になった息子に、原爆ドームや記念資料館を見せて、戦争や平和について考えるきっかけになれば、、、と思って、息子連れで行きました。
「仕事」の間退屈していた息子は、「仕事」が終わり、ホテルに荷物を置いて外に出ると、まるで水を得た魚のように生き生きとして、とても楽しそうに、禎子さんの像を見て、原爆ドームも見て、広い平和公園をスキップして歩き、、、、資料館の前まできました。
そして、そこで、思ってもみない強烈な一言が息子から出たのです。
「ここ、入るの、いーやーだーーー」
「ここまで来てそれはないでしょう」と思って、必死に説得を試みる私。
しかし、誰に似たのか(いえいえ、彼のオリジナルなのでしょう)、すごい頑固で、考えを変えない息子。
「やーだー、こわい」、「夢に出る。こわい」、「知らなくていいしー」考えつく説得をすべて試みたけれど、譲らない息子。あと5歩で資料館の入り口という場所で、延々と5分間議論となったのでした。
この日は夕方5時でも、まだ、うだるように暑くて、汗が止まらない。もう万策尽きてどうしようもなくなって、つい、「暑いよ。もう、限界。あのドアの向こうにはクーラーがあるよ。とにかく入ろうよ」。
すると、息子、気が抜けるほどあっさりと、「そーだね」と、すたすたと入っていくではありませんか。そんなこんなで入った記念資料館ですが、息子が、食い入るように真剣
に展示を見ていたという小説のような展開には、もちろんならず。資料館内でも、「こーわーいー。早くでーたーいー」「キノコ雲とか書いてあるけど、キノコの形に見えないしー」とぶつぶつ言う息子。
なんだか思っていたのとは全く違った資料館見学でした。
子どもは私とは違う、子どもは子どもで独立した人格なんだと当たり前のことを改めて思うとともに、息子は息子なりに自分の気持ちや心を守ろうと必死なんだな、そういうところを大切にしてあげなきゃな、と思いました。
その一方で、やっぱり過去に日本であった戦争のことはきちんと知って平和について考えて欲しいなと思ったのでした。
後日、この話をSNSにあげると、ママ友のみなさんからは様々な反響がありました。
子どもにきちんと資料館を見せたいという人、子どもが見ることができるまで待ちたいという人、いろいろな人がいました。どの意見にもなるほどと思って、とても考えさせられました。
子どもが何を怖いと思い、どういう理由でそれを乗り越えて見れるのかは、その子によって違うのだろうと思います。だから、子どもに戦争や平和を、いつ、どう伝えるかについても、正解はないのだろうと思います。
私も含めて戦争を知らない子どもが多くなっていく今、戦後71年日本の土台となってきた日本国憲法を変えようとする意見が出ている今、創意工夫をして、被害の歴史も加害の歴史もすべて戦争の歴史を語り継いでいくことの必要性を強く感じたヒロシマの夏でした。

弁護士 長尾 詩子

広島1 広島2

リオオリンピックで熱い感動

2016.08.25

リオオリンピックが閉幕しました。17日間の世界のトップアスリートの熱い闘いに感動の時間を過ごさせてもらいました。オリンピックが始まる前までは、2020年の東京オリンピック招致に関する様々な問題(国立競技場の問題やら、予算の問題やら。)に、「東京オリンピックなんていっそのこと返上したら。」「リオオリンピックなんか興味ないや。」などというネガティブな気持ちがむくむくとわき上がっていましたが、いざオリンピックが開幕すると、どんな競技でもスポーツそれ自体が持つ本質的なおもしろさ、想像を絶する鍛錬とそれを遂行する人間の精神力、人間の可能性の限界に挑むアスリートたちの姿にすっかり心を掴まれてしまいました。
そうした中でも、私が注目したのは男子卓球です。何を隠そう、私は中学生時代、卓球部に所属していました。運動神経も鈍く、市内の中学校の大会では1回戦負けを続けるさえない選手でした。それに、中学校を卒業後は全く卓球から離れてしまったので、今は素人同然ではあります。このため、中学生時代の競技感覚に照らして見るしかないのですが、それでも世界水準の選手の実力は想像を絶するほどです。特にラリーの連続、前陣からの速攻、これに瞬時に対応する運動神経、後陣から高速ドライブを狭い卓球台の、しかも相手方のサイドに返球するラケット裁き、空間把握能力は、「すごい」、「人間離れしている」の一言です。日本男子卓球代表の水谷隼選手は、卓球の「ネクラ」「ダサイ」というイメージを変えて、卓球をメインストリームのスポーツにしたい、という希望を語っていましたが、彼自身の今回の活躍(男子単で銅メダル、団体で銀メダル)は、少年少女には卓球をやってみたい、大人にはもっと卓球を観戦したい、応援したい、という気持ちを起こさせたのではないでしょうか。
ということで、東京オリンピックですが、「マリオ」に扮して人気取りをしようなどと考える政治家の宣伝の舞台ではなく、アスリートファースト、そして、一都民として気持ちよく応援できるオリンピックになるよう4年後を期待していきたいと思います。
弁護士 堀 浩介

南部山部夏合宿

2016.08.18

8/2~8/4、6名の部員プラスゲスト1名で、南八ヶ岳に行ってきました。初日、桜平(1900m)から夏沢峠(2440m)を目指しました。夏沢峠からは北へ箕冠山(みかぶりやま)・根石岳(2603m)・天狗岳(2640m)と縦走し、本沢温泉(2110m)で一泊。2日目は南八の核心部、硫黄岳(2760m)・横岳(2829m)・赤岳(2899m)を縦走し、赤岳鉱泉(2220m)で一泊。3日目は中山展望台から前日の縦走路を眺め、美濃戸口まで下山し(1490m)帰路につきました。登っては降り登っては降りの連続、山部としては本格的な山旅となりました。
八ヶ岳は変化に富んだ魅力あふれる連峰です。岩峰の連なりを美しい森が包みます。森は美しい苔がびっしりと絨緞のように敷き詰められた中、シラビソ、ダケカンバなどがうっそうとしかし静かにたたずむ、八ヶ岳特有の森です。私は随所で桂(かつら)を思わせるほのかな甘い香りを味わいました。心が和むすばらしい森でした。
核心部の縦走路は、鎖場が連続する岩峰地帯をスリリングなルートをたどりました。そのスリリングさにわくわくする部員もいれば、足がすくむ部員もいました。縦走の間、うっすら雨模様で周囲の景観を見ることができませんでしたが、かえって高度感を感じずに済んで(知らぬが花?!)よかったかもしれません。赤岳山頂にたどり着いたときには、この上ない達成感をものにすることができました。その赤岳の下り、直滑降を思わせる鎖場のルートも、スキップを踏むような気分であっという間に通過していました。
きついルートでしたが、高山植物が目を楽しませてくれました。森の中ではユーモラスなホタルブクロの赤紫が目につきました。高所ではチシマギキョウのすがすがしい紫、可憐なコマクサの薄いピンクが鎖場の緊張感を和ませてくれました。コマクサは大変な数が咲き乱れ、地元の方々の保護へのご苦労がしのばれました。本沢温泉への沢沿いの土手では、銀竜草のめずらしいほどの群落と出会いました。
初日、オーレン小屋でランチをとろうとしたときにはカモシカがお出迎え。3日目、美濃戸口への下山時には、黒地に白い縁取りの羽根を持つキベリタテハ蝶(初めて見ました)が見送ってくれました。
山小屋デビューの部員もいるため、2泊とも、風呂付き、食事も評判の宿を予定しました。本沢温泉は2種の源泉があります。内湯はカーキ色、野天風呂は白濁。どちらも気分最高の温泉でした。加えて野天は、渓流沿に木を組んで湯船にした開放感抜群の湯で、硫黄岳の荒々しい火口壁を眺めらの入浴になります。これに入るだけでもここに来る価値はある。また行きたい。赤岳鉱泉では夕食にステーキが出ました。大いに食べ、飲みました。 天気にはけっして恵まれたとはいえませんが、すばらしい自然とふれあい、わくわくする変化に富んだ山歩きを堪能することができました。温泉もよかった、飯もよかった、仲間はもっとよかった!充実した夏合宿でした。

弁護士佐藤誠一

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