誰のためのオリンピック?? ~オリンピック選手村住民訴訟~

 東京オリンピックの観戦チケットの抽選申込販売が本日で締め切りですね。4年に1度の祭典であり、日本での開催は1998年の長野オリンピック以来22年ぶり、夏季オリンピックは1964年の東京オリンピック以来56年ぶりですから、大いに盛り上がることでしょう。
 他方で、JOC会長である竹田氏の贈賄疑惑が報道されたり、当初7000億円だった予算が会計検査院の調査では3兆円まで膨れ上がる可能性が指摘されたり、それなのに多くのスタッフをボランティアで集めようとしていたり、とお金の問題も数多く取沙汰されています。
 私の取り組んでいるオリンピック選手村住民訴訟も、オリンピックとカネをめぐる問題の一つです。5月16日にも裁判期日があり、一部メディアで取り上げていただきました。
この訴訟は、銀座にもほど近い晴海の東京都有地(約13.4㌶、東京ドーム3個分)が、選手村として使用するという口実のもと、1㎡当り10万円程(総額約129億円)で大手ディベロッパー11社に払い下げられたことが不当である、として訴えている訴訟です。
この土地にディベロッパー11社が選手村として使用するための建物を建て、オリンピック・パラリンピック期間中は東京都に貸し出して選手村として使用し、オリンピック・パラリンピック終了後は、マンションとして分譲したり賃貸したりするのです。最近、「HARUMI FLAG」としてホームページも設置され、説明会も行われているようです。
原告側が10月に裁判所に提出した不動産鑑定士による鑑定書では、土地価格は1㎡当り100万円(総額約1600億円)を超えています。つまり、9割以上も値引きしているのです。その理由として、東京都は、選手村として使用するために開発スケジュールが定められていることなどを理由にしています。しかし、いくら何でも安すぎではないでしょうか。
しかも、この土地は、全てを選手村として使うわけではありません。一部の土地は、タワーマンションを建設するための用地です。また、土地の引渡し前に東京都は約540億円をかけて基盤整備を行い、大会終了後は約450億円をかけて建物内装の解体工事を行います。さらに、所有権の移転時期は先に設定されておりディベロッパーはそれまで固定資産税を支払う必要もないですし、大会期間中はオリンピック組織委員会から家賃を支払われます(38億円)。ここまで至れり尽くせりなのに土地代金は9割引きです。
 このような安価での土地払い下げは、本来であれば都議会できちんと議論すべきです。しかし、この土地払下げについては、都市再開発法を使って、都議会での決議を省略しているのです。その上、東京都は、土地価格を決定した根拠である調査報告書(「鑑定書」でもないのです。)もほとんど黒塗りにして全面開示は拒んでいます。
 一体誰のためのオリンピックなのでしょうか。私たちはせめて都民の財産を不当に支出することは止めてほしい、という思いで訴訟に取り組んでいます。主体となっているのは、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の方々です。会員も募集していますので、気持ちよくオリンピックを開催するためにも、ぜひご支援ください。
弁護士 大住 広太