東京南部法律事務所ニュース 2005夏号 |
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横浜事件 ―ようやく再審の扉開く― 日本航空乗員勝利・勤務基準不利益変更裁判 戦後60年特集 「ホワイトカラー・イグゼンプション」導入の動き コラム・事務所からお知らせ 大田ところどころ |
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残暑お見舞申し上げます。 60年目の夏 去年は私の60年、今年は日本が戦後60年目の夏を迎えた。私がもの心ついて、しかも法律家として当然のように思っていた憲法9条が、根底から変えられようとしている。散々に迷惑をかけたアジア諸国への国際公約・不戦の誓いを捨てて、「オウ、やってやろうじゃないの!」ばりの国になろうとしている。ことはサッカーや国境トラブルどころではなく、しかも大勢の“観客”を巻き添えにするのだから、威勢のいいタンカに雷同してていいのか。 |
そんな状況に危機感を抱いて、この地域でも様々な「9条の会」が生まれている。私自身の記憶と云えば、警察予備隊・保安隊、朝鮮休戦会談くらいからでしかないが、そんな現代史を子弟世代の講師から聞いて、戦後60年の歩みを考えている。20年経った東京オリンピックの最終聖火ランナーは、私と同年同姓の学生だった。あの頃は冷戦下だったが、みんな素直に復興と平和を喜んでいた。それがおかしなナショナリズムの虜になり、歯止めの利かない究極の赤字「公共」事業である軍需期待の日米産業界の思惑に引きずられている。 これからのこの国は、大地震・津波への備え、安全基盤の総点検、環境破壊の進行をくい止めるなどの内外の努力・貢献の方が断然優先する。それで手一杯だと私は思っているが、残念ながら政界ではそうはなっていないようである。もはや戦後は終わって、新しい戦前が始まったのか。はぐらかされてあるその現実と、不透明な先行きのことを考えながらこの夏を過ごしてる。 弁護士 坂井興一 |
撮影 向 武男 |