Q.医療ミスを疑ったら?(医療事件の流れなど)

A.

 医療ミスではないか、という相談を受けた弁護士は、通常、まずは「ミス」かどうか等の調査をすることから始めます。というのは、多くの事案では、すぐに損害賠償請求をすることができるわけではなく、まずは調査というものを行って、病院側にミスがあるのか、それがどのような損害をもたらしたのか、などを判断する必要があるからです。
 調査では、カルテなど診療記録を分析し、医学文献の検討や専門家医師の意見聴取をし、病院側にあらためて説明を求めたり、重大事案では事故調査委員会の設置を求めたり、といったいろいろなことをします。そのため調査に1年程度かかることもあります。
 医療ミスではないと判断される場合でも、患者としての思いを伝えたり、再発防止策を提示するなど、当該事案からの教訓を病院と共有化することも大切と考えます。相手が説明を拒んだり再発防止策の共有を拒んだりする場合、東京三弁護士会が運営する医療ADRという制度を利用することもあります。
 医療ミスと判断できる場合は、損害賠償請求をするのが通常です。その場合もいきなり裁判ではなく、病院と交渉をするなど病院と話し合いの途をさぐり、この場合も前記の医療ADR制度を利用することもあります。しかし、病院側が、どうしてもこれら話合いによる解決に応じない場合には、訴訟を起こすこととなります。
 調査を委任する場合も、損害賠償請求を委任する場合でも、弁護士費用や実費がいくらかかる見通しか、委任する前によく弁護士に尋ねて、書面で説明を求め、契約書を交わしてください。なお、医療事件は、専門的に取り扱う弁護士団体もありますので、あわせてご相談対象として参考にしてください。
医療問題弁護団 http://www.iryo-bengo.com/