Q. 任意後見から法定後見へと移行することはありますか。

A.

 自然に法定後見へ移行するわけではありませんが、必要があれば法定後見開始等の審判請求を行うことになります。
 任意後見契約終了事由として、「法定後見(補助・保佐・後見)の開始」があります。
 ただし、任意後見契約が登記されている場合には、任意後見制度を選択した本人の意思を尊重して、家庭裁判所は、「本人の利益のため特に必要がある」と認める場合でなければ、法定後見開始の審判等をすることができません。この、「本人の利益のため特に必要がある」と認める場合とは、諸事情に照らし、任意後見契約所定の代理権の範囲が不十分である、合意された任意後見人の報酬額があまりにも高額である、任意後見契約に関する法律4条1項3号ロ、ハ所定の任意後見を妨げる事由がある等、要するに任意後見契約によることが本人保護に欠ける結果となる場合、をいいます。
 任意後見契約ではできることが限定されていますので、ご本人の意思能力の程度に不安がある場合で、任意後見契約所定の代理権の範囲が不十分である場合などは、成年後見等の審判の請求(意思能力の程度に応じて成年後見人、保佐人、補助人)の必要があるかと思います。