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自動車事故の被害者が加害者に対して民法709条による請求をする場合、被害者のほうで加害者の故意・過失を立証する必要があり、また、仮に勝訴判決をえても、加害者にお金がなく賠償を受けられないといった事態を防止するため、昭和30(1955)年に制定され、昭和31(1956)年より開始されたのが、自賠責保険制度です。
そのため、自賠責保険の特徴としては、①運行に供する自動車は全て強制加入であり(自賠法5条)、事故歴の多寡に関わらず、保険会社は自賠責の引き受けを断れませんし、途中解除が制限されていることや、加入していなければ車検を受けられないことで、継続が担保されています。
事故が起きた際には、②人身損害のみ保障され、運転者自身の怪我には適用がありませんが、③被害者のほうで加害者の故意・過失を立証する必要がありませんし、③被害者に過失がある場合の過失相殺についても、被害者の過失割合7割未満であれば減額がなく、事故原因の99%(9割9分)が被害者の過失による事故などでも、自賠責保険は最大で5割減額にとどまり(被害者過失が100%、加害者無過失の場合、自賠責保険はおりません)、被害者の保護に厚い内容となっています。
④また、被害者からの直接請求を法定したり、適正原価主義(自賠法25条)がとられており、保険金額と保険料収入とが均衡して保険会社に利益がでないようにされていたり、⑤損害が確定する前に保険金の仮渡しが受けられたりすることも特徴といえます。