A.
人に建物を貸す、あるいは借りるというのは当然のこととして何らかの使用の目的があるからです。契約書には、使用目的を詳細に書く場合もありますが、抽象的な記載に留めている場合もあります。後者の場合であっても、当事者の合意としてある目的に使用すると言うことが定められているのが普通です。その目的には、騒音が出ることが当然のこととなる工場のような使用目的もあれば、そうでない住宅のようなものもあります。また、賃貸借の対象物件が、繁華街の騒音地帯にある場合もあれば、静謐な住宅街にある場合もあります。契約にとくに騒音を出さないようにという条項のある場合もあります。「騒いでいる」というのが、賃貸の目的に反する行為であるのかどうかは、賃貸人と賃借人の合意で定めた使用目的や、その物件が置かれている環境から判断する必要があります。いつも騒音の出ている工場や店舗の中で騒いだからといって、契約違反になることは通常はないと思われます。しかし、静穏な住宅街の中で、隣近所に響き渡るような騒音を立てるならば、契約違反の可能性があります。また、いつもは静かだがたまたま大きな音を出したのか、年中大きな騒音を出しているのか、近所からひんしゅくを買う事態となっているかなどにより、異なります。要は、契約に定められた使用目的など契約の内容、建物の状況、隣接する建物(部屋)の有無、近隣の環境、出している騒音の種類程度、継続期間、などから、その騒音が賃貸人と賃借人の信頼関係を壊すかどうかということです。信頼関係を破壊する可能性があるならば、直ちに「騒ぐ」のを止め、家主にきちんと説明をし、理解を求める必要があります。信頼関係を破壊する程度にならないことで注意を受けているのであれば、従う必要のない場合もあります。しかしながら、騒音というのはかなり個人差があり、自分ではたいしたことはないと考えていても相手方が強い被害を受ける場合もないわけではありません。いずれの場合であっても、よく話し合って解決する必要があります。