修正しても危険がいっぱい! 弁護士 長 尾 詩 子 |
「新ガイドラインに反対する大田連絡会」は、毎月蒲田駅で有事法制の危険な中身を訴えています。03.7.10宮川泰彦弁護士が訴えました。 |
日弁連(日本弁護士連合会)は,5月14日,会長声明を発表し, 有事3法案が「修正」されても,大きな問題が残ることを指摘し,国民的議論を尽くすことを求めました。 しかし,6月6日,有事3法案は参院本会議で強行採決されました。 成立した有事3法に,どのような問題点があるのでしょうか。 まず,最も重要な有事の要件が「修正」によっても明確にされていません。 「武力攻撃事態」「武力攻撃予想事態」(武力攻撃法2条)は,不明確なままです。アメリカが行動を起こせば「周辺事態」になり,日本にとっての「武力攻撃予測事態」となり,自衛隊が出動することとなり,憲法が禁止する集団自衛権の行使が行われるのです。 アメリカのイラク攻撃が明らかにしたことは,アメリカの軍事的無法さです。バクダット陥落後数ヶ月経っても,イラクでは大量破壊兵器は見つかっていません。アメリカが,十分な根拠なく,敵対する国を「悪の枢軸国」を決め付け,国際社会のルールに反して,攻撃したことを非難する声は、国際的に広がっています。そのようなアメリカに加担して,自衛隊を発動することを広く認めていいのでしょうか。 |
|
次に,国民の協力義務,民間人への対処命令,命令違反に対する罰則については,なんら「修正」はありません。 日弁連は,有事3法は、国民の基本的人権を侵害する危険性があると主張してきましたが,その危険性は解消されていないのです。 アメリカのイラク攻撃に対して,世界各国で戦争反対のパレードが行われました。日本でも各地で戦争反対のパレードが行われ、今までこのようなパレードに参加したことがない人が多く参加しました。「政治的無関心層」といわれる若者が、若者らしい表現方法で戦争反対をアピールしました。 これらの行動は「戦争反対」「平和を守ろう」が国際的世論であり、圧倒的日本国民の声であることを明らかにしました 有事法制をめぐる闘いは終わっていません。これからさらに、有事法制を具体化する法案が国会に提出されます。「戦争反対」「平和を守ろう」の圧倒的多数の声に確信をもって,有事法制の発動を許さない取組みを強めていきましょう。 |
|
もう黙っていられない 弁護士 佐 藤 誠 一 | 戦争はいや! 事務局 江 口 奈 保 子 |
少なくない反対世論に抗して、有事法制が今国会で成立した。国会でこれに反対した政党は、共産党と社民党だけというから驚く。おまけに一番の推進者である小泉首相の支持率は安泰というではないか。 この法律は、単に日本が戦争に備えるとの単純なものではない。自衛隊はもちろん、民間の機関さらには国民全部をアメリカという外国の軍隊が行う戦争に、いやがおうにも動員させるという、およそ世界に例を見ない軍事法規である。法律が成立した当日の読売新聞は、まさに民間人が戦争に巻き込まれた事態をシミュレーションした記事を掲載し、この法律の成立を賛美した。 日本が参戦するアメリカの戦争には、当然のことことながら、日本は反対する立場にない。嫌だといってもお構いなしに始まる。それではアメリカはどんな戦争を実行するのか。それは今般の対イラク戦争で証明済みである。イラクはアメリカはもちろん、いずれの国に対しても軍事行動を行っていなかったし、軍事行動を威嚇したこともない。米英軍の全くの先制攻撃である。しかも事前にはイラクに武装解除させた上での攻撃である。これは「戦争」の名に値しない。一方的な米英軍の武力行使だった。おまけにこれを正当化させる理由であった、イラクの大量破壊兵器は未だに見つからない。それどころか大量破壊兵器など存在しないことが、はなから明らかであった事実が判明しつつある。嘘をついたブレアは失脚の危機にある。ところが日本では、そんな無法なアメリカ軍と一体となって戦争するための法律を、与野党がこぞって成立させ、マスコミ(読売がその代表である)はこれを激賞する。おまけに現在国会で審議されているイラク特措法は、自衛隊をイラクに派遣して、必要なら米英軍ともども現地で軍事行動をさせるという法律である。 日本はいったいどうなってしまうのだろうか。 |
「どうして、シャッターを押せるのですか!」 先日、森住卓さんと語り合う市民のつどい(有事法制に反対する渋谷ネットワーク主催)に参加した。イラクの惨状を伝える写真を見た参加者から森住氏への質問だった。森住氏は湾岸戦争・今回のイラク戦争でも危険な中イラクに渡り、イラクの惨状を告発し続けているフォトジャーナリストだ。 戦争で投下された劣化ウラン弾がイラクの人々にもたらした現実…スクリーンに映し出される無脳症や水頭症の赤ちゃん。白血病に苦しむ多くのこどもたちと、その家族。イラクでは白血病や癌による死亡者数が急増し、癌による死亡率は湾岸戦争前の17倍に達し、4人に1人の比率で先天的な障害児が生まれている。経済制裁によって治療に必要な医薬品は不足し、薬がないので小児病院を退院する白血病の少女が映し出された。 会場からの質問に、森住氏は答えた。−私がためらっていると、イラクの医師が「撮りなさい」と言う。「もしあなたに写真を撮ってもらわなかったら、この現実は伝えられない。あなたに写真を撮ってもらうことによって、この世に生まれてきた意味を持てた。」「あなたがいないときに生まれてきたたくさんの障害を持った赤ちゃんたちは、世の中にアピールすることもなく短い命を閉じていったのよ」− 武力攻撃の正当性など一体どこにあるのだろうか。「有事法制」が発動され、武力攻撃に日本が荷担することになってしまったら、この悲劇を与えるのは私たちだ。今のアメリカや日本の政府が、紛争を平和的に解決するために全力を尽くしているとは思えない。 最後まで森住氏の写真を見ることは本当に辛い。でも、一人でも多くの方に写真を見て欲しい。武力攻撃で実際に攻撃を受け、苦しむのは子どもや市民だ。 |