役に立つ法律知識 よりよい住宅を安心して持つために | ||
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が2000年4月1日から施行されています。 この法律は瑕疵保証制度の充実と住宅性能表示制度新設の2本の柱からなっています。 1 住宅の基本構造部分の10年瑕疵保証の義務化 これまでの住宅建設においては瑕疵担保の期間は請負契約で1ないし2年と定めるのが一般的でした。しかし、住宅の瑕疵・欠陥(建物引渡の時点ですでに存在していた様々な欠陥のことを指します)は、2年目以降に顕在化する例が多く、そのために住宅の欠陥・瑕疵に関する紛争が多く発生していました。このような状況に鑑み、住宅取得者を保護するため、住宅供給者に対して瑕疵期間を10年間に義務化しました。その要件は次のとおりです。 @対象住宅…新築してから1年を経過していないもので、かつまだ人の居住の用に供したことのないもの。 A対象瑕疵…基本構造部分に関するもの。住宅の骨組み(基礎・土台・柱・梁など)と雨水の浸入を防ぐ部分(屋根・外壁・開口部など)の瑕疵に限定されます。 注文住宅では工務店等が施主に対して、建売住宅では建設業者が買い主に対して10年間の右のとおりの瑕疵保証の義務を負うことになりました。 2 住宅性能表示制度 どの程度の性能の住宅を引き渡すのかを契約時点で明確にしていないことが住宅トラブル発生原因のひとつになっています。 こうしたトラブルを防ぐためにも、住宅の性能について何が合意されているかを契約上明確に位置づけることは重要です。そこで、品確法は次のとおりの制度をつくりました。 @二つの基準が定められた 住宅の性能を表示するための共通基準として、構造の安定、温熱環境など9つの分野の28項目につき性能評価する「日本住宅性能基準」と住宅の性能の評価方法として「評価方法基準」が国土交通大臣により定められました。 A第三者機関の評価が受けられる 国土交通大臣の指定する指定住宅性能評価機関が申請に基づき「評価方法基準」に従って申請住宅の性能表示を行い、その結果を「住宅性能評価書」として交付します。 これには、設計図書の段階で評価結果をまとめた設計性能評価書と施行段階、完成段階の検査を経た評価結果をまとめた建設住宅性能評価書の2種類があります。検査により評価された場合はそれぞれ、法に基づくマークが表示されます(下図参照)。 B住宅性能評価書の内容を契約に活かせる 指定住宅性能評価機関が交付した住宅性能評価書を新築住宅の請負契約や売買契約に添付すると、住宅性能評価書の内容を契約したものとして扱われます。 3 もしトラブルになったら? 住宅性能評価書の交付を受けた住宅については、もし紛争が生じた場合には大臣が指定する指定住宅紛争処理機関での解決が出来ます。裁判によらず、円滑、迅速、専門的に住宅の紛争を解決するための機関として弁護士会が紛争処理機関に指定されています。弁護士、建築士などの紛争処理委員が双方の主張を整理し、現場調査に臨んだりしながら、斡旋、調停、仲裁による紛争解決を迅速に行います。紛争解決の対象は、表示された性能の問題に限らず、請負契約・売買契約に関する当事者間のすべての問題をカバーします。 なお、住宅性能表示制度の利用は住宅取得者や受託生産者、販売者の任意の選択によります。 |
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この制度をより詳しく知りたい方は、 当事務所又は住宅紛争処理センター (電話03−3556−5147、 ホームページ http://www.chord.or.jp ) にお問い合せ下さい。 弁 護 士 宮 川 泰 彦 |