日本航空客室乗務員組合メールボックス事件
東京地方裁判所で和解解決!
                     弁護士 堀 浩介
1,事実の概要
 日本航空は、1950年代以降、全客室乗務員に貸与している会社施設のメールボックスに、労働組合が組合ニュースなどの組合情宣物を配布することを認めていました。しかし、1997年7月、客室乗務員についてのみ突然組合情宣物の配布を禁止することを宣言し、同年9月からこれを一方的に強行してしまいました。このため、日本航空客室乗務員組合(客乗組合)が組合員を初めとする全客室乗務員に確実に労働条件や安全問題などについて情報を伝達することがほぼ不可能になりました。

2,労働委員会での勝利命令の獲得
 客乗組合は1998年9月に東京都労働委員会に、組合情宣活動を妨害し、組合の弱体化を図ったものであるとして、配布の妨害を中止するよう不当労働行為救済命令を申し立てました。
 労働委員会は、2002年5月、組合の主張をほぼ全面的に認めて、会社と協議が整うまで、メールボックスへの組合情宣物の配布を1年12回に限り妨害してはならないとの命令を出しました。

3,会社の東京地裁への提訴と和解による解決
 会社は、労働委員会命令を不服として、2002年7月に東京地方裁判所に労働委員会命令の取消を求めて提訴しました。客乗組合は、労働委員会命令の正当性を主張し、会社の主張に対して、必要な反論を展開してきましたが、2003年10月8日、裁判所の和解勧告により訴訟上の和解が成立しました。
和解の主たる内容は、1年間に24回の組合情宣物の配布を認める(但し、1か月の上限は3回)、配布物はA4版32頁を限度とする、というものです。労働委員会命令で認められていた年12回を超える年間24回の配布を会社に認めさせたことは、客乗組合にとっても、また会社の客室乗務員にとっても大変大きな成果といえます。

なんぶ2002冬号